今回はE N S E M B L Eのお話を少し。
なんと今月22日でE N S E M B L Eは10周年を迎えます。
11年くらい前の話ですが、いつもお世話になっているお直し屋の社長から「うちの隣のテナントが空いたけどお店やらない?」みたいな話をいただいたので内覧したら、インドカレー屋が夜逃げしたままのすごい物件でした。
まさかその1年後にその場所でE N S E M B L Eをオープンすることになるなんて、運命とは不思議なものです。
僕の師匠はいつも「クセがある物件ほど我々の仕事の余地がある」と言っていたし(内装の話です)確かに正方形のコンクリート空間よりは面白いかなと思ってその場所に決めたのですが、いざオープンしてみると思った以上に目立たないし、お店の場所も分かりづらいということで集客には大変苦労しました。
(写真は旧店舗)
さらには2店舗目というプレッシャーは想像以上だったので、まずはしっかりとしたコンセプトを作って地道に発信しようとか、カジュアルよりもモードに振ろうとか色々悩んだ日々を思い出します。
当時はナンバーナインを解散した宮下貴弘さんがソロイストというブランドを立ち上げたばかりで、演奏家、もしくは独奏家というキーワードが頭の中にありました。
そこから想いを巡らせてつくったコンセプトです。
***
それぞれ異なる楽器を持ったソリスト達が、どこからともなく集まってきて自由に演奏を始める。 ソリストたちの協奏曲...この店名にはそんな思いが込められています。
ファッションにおいて独自の音色を奏でるデザイナーたちにフォーカスして、彼らのオリジナリティ溢れるクリエーションを自由にミックスしています。
固定概念を取り払って、本当にいいものを自分らしく着こなすこと。
ファッションが持つポジティブな力を、自由で心踊る瞬間を、上質なクリエーションと共に提案していきます。
***
11年目のE N S E M B L Eは、今一度初心に帰ってこのコンセプトに恥じないアプローチを目指したいと思います。
移転によって増床した2フロア(E N S E M B L E とE N S E M B L E_deux)を使い分けて、それぞれ味わいの異なる2枚組アルバムを仕上げたい。
具体的にはこれからですが、21SSシーズンからは予想外とかいい意味での裏切りも含めて仕掛けていきます。
ずっと応援してくださっているお客様にこれからも喜んでいただけるように。
(写真は現店舗2階)
(写真は現店舗3階)
気付けば中年になりましたが、まだまだファッションが大好きです。
好きすぎて暴走してしまう悪い癖も今となっては取り柄のような気もするし、直感を信じるあまり無計画なところも洋服屋としては武器なのかもしれない。
振り返ると、なんであんなに遠回りしたんだろうと不思議に思えることもありますが、成功も失敗も身を以て経験したいと思ってやってきた証と思ってこれからのステップにしていきます。
作る服からデザイナーの人間味が溢れているような、手癖というかキャラクターというか、作家性を大事にしたい。
昔に比べたらブランド数もセレクトショップも何十倍にも増えました。
差別化なんてどうやったらいいのかわかりませんが、こだわってきた本物志向を突き詰めて、ひたすら信じる道を突き進みます。
「愛だろ、愛。」
懐かしいですね。
今改めて好きなフレーズ。
(知らない世代はYouTubeで検索してみてください。)
お客様、お取引先様、スタッフのみんなに感謝して、愛で返していきたいと思います。
IDEAL INC.
Founder / 橋場 英太朗