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            2022.02.01
Taiga Takahashi / 現代美術作家、髙橋大雅の新たな視点
                洋服と同列に建築やアートに興味がある方なら、彼の登場は衝撃的だったのではないでしょうか。
新規取扱ブランド【 Taiga Takahashi 】に関して、自分なりの視点を交えてご紹介します。
デザイナー髙橋大雅は1995年生まれの26歳。
2010年ロンドン国際芸術高校に入学し、2013 年セントラル・セント・マーチンズに進学。
2015年ベルギーのアントワープやロンドンのメゾンでデザインアシスタントを経験。
2017年に同大学を卒業後、ニューヨークにて Taiga Takahashi, Inc.を設立。
2021年、京都の祇園に初めてのコンセプトショップ「T.T」をオープン。
T.T 京都祇園の記事
祇園のお店にも衝撃を受けましたが、僕が一番痺れたのは「T.T」のオープン時に配られたプレスリリース。
いつも新しいものを
つくりたいと思っていた。
しかし、いま
新しさは飽きることなく消費され
時代の奥底へと沈んでいく。
そのような社会において
価値のあるものはなんだろうか。
急速な時代の流れの中で
置き去りにされ、人の記憶から抜け落ちていった
大切な何か。
時の移ろいによって磨かれていく、
日本古来の美意識のような。
時間や自然、人といった
コントロールできない偶発的なものにこそ
美しさがあり
心を満たす余白があるのではないか。
衣服、建築、空間、食、茶・・・
遠い過去から堆積してきた
人類の営みに欠かせない文化。
過去の遺物を、いまに蘇らせることで
未来の考古物を発掘する。
–

写真は21AWでリリースしていた、AUTOMOBILE COAT(私物)です。
数ヶ月間、かなりの頻度で着用しています。
面白いのは、前に振った袖やアームホール。
まだ馬に乗っていた時代の名残りを感じさせる美しいシルエットです。
車社会の現代では過去の産物となっているものであり、今の服では滅多に見かけません。
着用時になんとも心地よい違和感がある。
90年代のマルジェラのバナナスリーブなんかもこの辺りのリファインなのかなと想像するだけでも面白いです。
ただし、Taiga Takahashi はこれをデザインとして用いているのではなく、100年前の服をそのまま現代に蘇らせることをクリエーションにしています。
100年前の服に袖を通すことで「今」を知ることになるわけで、僕はすっかり彼の思惑にはまってしまいました。
シルエットも久しく着ていないような緊張感があって、お世辞にも今時ではない。
何か新しい時代の予感がします。
–
 
 
2022SS / AUTOMOBILE JACKET (LOT 802)
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そういったアプローチ自体は多くのブランドが実践していますが、Taiga Takahashi は徹底ぶりが尋常ではありません。
是非とも彼の美意識に触れてみてください。
            
        新規取扱ブランド【 Taiga Takahashi 】に関して、自分なりの視点を交えてご紹介します。
デザイナー髙橋大雅は1995年生まれの26歳。
2010年ロンドン国際芸術高校に入学し、2013 年セントラル・セント・マーチンズに進学。
2015年ベルギーのアントワープやロンドンのメゾンでデザインアシスタントを経験。
2017年に同大学を卒業後、ニューヨークにて Taiga Takahashi, Inc.を設立。
2021年、京都の祇園に初めてのコンセプトショップ「T.T」をオープン。
T.T 京都祇園の記事
祇園のお店にも衝撃を受けましたが、僕が一番痺れたのは「T.T」のオープン時に配られたプレスリリース。
是非とも読んでほしいので以下に転載致します。
–
未来は過去にある。
いつも新しいものを
つくりたいと思っていた。
しかし、いま
新しさは飽きることなく消費され
時代の奥底へと沈んでいく。
そのような社会において
価値のあるものはなんだろうか。
急速な時代の流れの中で
置き去りにされ、人の記憶から抜け落ちていった
大切な何か。
時の移ろいによって磨かれていく、
日本古来の美意識のような。
時間や自然、人といった
コントロールできない偶発的なものにこそ
美しさがあり
心を満たす余白があるのではないか。
衣服、建築、空間、食、茶・・・
遠い過去から堆積してきた
人類の営みに欠かせない文化。
過去の遺物を、いまに蘇らせることで
未来の考古物を発掘する。
–
いかがでしょうか。
考え方は言葉に宿ると思うんです。
こんな言葉を持った髙橋さんの作る服を、純粋に着てみたいと思いました。

写真は21AWでリリースしていた、AUTOMOBILE COAT(私物)です。
数ヶ月間、かなりの頻度で着用しています。
面白いのは、前に振った袖やアームホール。
まだ馬に乗っていた時代の名残りを感じさせる美しいシルエットです。
車社会の現代では過去の産物となっているものであり、今の服では滅多に見かけません。
着用時になんとも心地よい違和感がある。
90年代のマルジェラのバナナスリーブなんかもこの辺りのリファインなのかなと想像するだけでも面白いです。
ただし、Taiga Takahashi はこれをデザインとして用いているのではなく、100年前の服をそのまま現代に蘇らせることをクリエーションにしています。
100年前の服に袖を通すことで「今」を知ることになるわけで、僕はすっかり彼の思惑にはまってしまいました。
シルエットも久しく着ていないような緊張感があって、お世辞にも今時ではない。
何か新しい時代の予感がします。
–
 
 
2022SS / AUTOMOBILE JACKET (LOT 802)
–
今から 100 年前、1920 年代のアメリカで始まった大量生産・大量消費の時代。
アメリカ型の資本主義社会が様々なものづくりを変えていった。
職人による一点ずつ丁寧に作る伝統から、手の技が無くとも大量生産が可能なものづくりの体制になってゆく。
経済の下支えをしている重労働者が着るワークウェアがその時代背景を物語る。
直線的な縫製、平面的なパター ンによる簡易化。
生地の耐久性やポケットの形状など、全て重労働に耐えゆくための設計。
今のデザインと言われる要素が全くと言っていいほど、存在していない。
自分の中で、着物の設計とかなり合致している部分があるのではないかと思った。
全て直線的に裁断され、平面的な構造によっできる美しいかたち。
そして世代を超えて、引き継がれるもの。
この日本古来の和装の精神性とアメリカの大量生産の合理的なマインドを融合させれないか。
これが今回のコレクションのスタートポイントになる。
元来自分はデザイナーではなく考古学者でありコレクターであると思っている。
ものづくりの背景や、性質などを研究するために Taiga Takahashi を立ち上げた。
コレクションというのも、言葉としては「蒐集したもの」という意味でもある。
全て一点一点の服に自分が集めてきた様々な要素が生地やパターン、縫製に至る全てのプロセスに反映されている。
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2022SS / DENIM JACKET C.1930’S (LOT 703)
 
2022SS / DENIM TROUSERS C.1930’S (LOT 704)

「古きを訪ねて新しきを知る。」
そういったアプローチ自体は多くのブランドが実践していますが、Taiga Takahashi は徹底ぶりが尋常ではありません。
是非とも彼の美意識に触れてみてください。