ずっと気になっていたブランドがありました。
”NAHYAT”
一般的なファッションブランドは展示会でサンプルをお披露目し、バイヤーの買い付けを経て店頭へ、そしてお客様の元へ届くというサイクルで運営しています。
しかしながら”NAHYAT”というブランドは展示会にお客様を呼んで直接販売しているというのです。
さらにはデザイナー自ら商品説明をし、フィッティングのお手伝いもしているとか。
果たしてどんな人がどんなモノづくりをしているのだろうか...
はじめはそんな興味本位で展示会にお邪魔しました。
実際にコレクションを拝見して腑に落ちたというか、一部布帛もありましたがそのほとんどをニットで構成しているので、その『連続性』によってブランドとしての体裁というか、世界観を形成しているのだと感じました。
その証拠に、”NAHYAT”のホームページにはこれまで作ってきた全てのアーカイブが一覧できるようになっています。
バイヤーの買い付けというフィルターを通すと、どうしても”点”でしか伝わらない部分が出てしまいます。
全体感から一つのプロダクトをフォーカスするというアプローチは、伝えることも大切なクリエーションとして取り組んでいる”NAHYAT”らしい、実に誠実な活動だと感心しました。
私はこの"NAHYAT"の一連のクリエーション(連続性)を体感したくて、何度かアトリエにお邪魔しました。
そこで実際にアーカイブを拝見させていただき、色々なストーリーをお聞きしました。
当たり前ですが、依田さんは全て完璧に説明してくれるので、聞いていて欲しくなってしまいます(笑)
なかでも3rd seasonに発表したニットブルゾン(以下写真参照)が素敵で。
それは、カウチンセーターと呼ぶには洗練されていて、トラックジャケットのような印象でした。
自分はマルジェラのドライバーズニットを20代は毎年着ていたし、sacaiがメンズを発表した時のニットMA-1にも衝撃を受けました。
ニットアウターというニッチでリッチな大人のアイテムには、自分の青春と理想が詰まっているのです。
(だって普通はニットじゃなくて布帛のアウターを選ぶからw)
思い切って依田さんに最強のニットアウターを作って欲しいとお願いしました。
それが今回の”Partnership”です。
* * *
Partnershipとは、ナヤットが培ってきた技術を、縁を得た人たちの理念や感性と組み合わせることで、両者のもつ固有性を浮かび上がらせるとともに、単独では生まれないデザインを探る試みです。
糸の選定から加工や風合い、最終的な表現に至るまで、それぞれのプロジェクトが目指す衣服のあり方を考えます。
* * *
”パートナーシップ”というからには対話のプロセスも知って頂きたいと思い、インタビュー形式でNAHYAT及びデザイナーの依田さんをご紹介させて頂きたと思います。
①依田さんの簡単なプロフィールをお聞かせください。
1988年生まれ 文化服装学院卒業後 YohjiYamamotoに入社。
メンズニットとカットソーを担当。退社後、2017年にNahyatを立ち上げる。
②ニット専業ブランド”NAHYAT”を立ち上げた経緯をお聞かせください。
洋服作りをする中で、テキスタイルに在る微細な美に目を向けたかった。
2年程前から布帛もはじめ、糸を嗜むというコンセプトでより幅広くテキスタイルを軸に据えたものづくりをしている。
③展示会では専門店に卸売をせず、個人のお客様だけに販売する独自のスタイルについて、その理由と想いをお聞かせください。
動機は色々ありますが、あらゆる面でピュアにモノに向き合える仕組みとして一番自然だと思えたからです。
このスタイルで7年が経ちますが、経営的な側面とデザイン的な側面双方健康的な運営になっていると思います。
④『パートナーシップ』というスタイルが生まれた理由をお聞かせください。
インラインはピュアに、パートナーシップでは他者と交流する中でしか生まれないデザインがあると思えたから。
他者とのものづくりも好きなので、そのNAHYATも見たかった。
⑤今回、私達とのパートナーシップでは『史上最高のニットアウター』をテーマにしました。
・制作する上で最もこだわったところ
・苦労したところ
・これはNAHYATじゃなければできないだろうと思うところ
この辺りを織り交ぜながら、制作プロセスのお話をお聞かせください。
まず、今回はNAHYATの3rd seasonで発表したニットブルゾンをベースにしました。
長野だと車の移動が多いのでショート丈のアウターが望ましいこと、防寒性が高いこと、それらの条件を軸にデザインしていきました。
防寒性は勿論、車での着用は摩擦も多いため耐久性も必要なのであらゆる側面を踏まえた上でカシミヤの強撚糸を作りました。求めている厚み、目面にする為に一度同じ番手の羊毛で試作し、撚り回数など調整を繰り返して糸が完成しました。
苦労といえばここに至るまでで数ヶ月費やしていることでしょうか。
これはNAHYATでなければ出来ないところと言っても過言ではないかもしれません。
(これまでニットと向き合ってきた時間や経験がベースにあるという意味です。他者との比較という意味ではありません)
こだわってないところはありませんが(笑)最後にリクエストいただいた引き手を制作するにあたって、手編みで試作を重ねたところは是非見て頂きたいです。
ご納得頂けてよかったとかなり安堵しました。笑
商品:NAHYAT史上最強のカシミヤ100%ニットアウター(イデアル別注品)
素材:表 100% CASHMERE / 裏 100%CUPRO
価格:¥198,000-
サイズ:3 (ワンサイズ展開)
MADE IN JAPAN.
『美しい』
それが私の最初の感想です。
年齢や気分の変化にも寄り添ってくれる息の長いプロダクトを求めている自分にとって、これ以上ない素晴らしいものが出来上がった事に胸が熱くなりました。
表側ではなく内側の両胸にポケットを内蔵することで、重いものを入れても表面に干渉しづらい設計になっています。
地味ですがこれが非常に重要で、シルエットを維持するために必要なデザインです。
裏面の仕様もうっとりするほど美しくて(上の写真参照)改めてNAHYATの実力を思い知りました。
ディテールに関しては必要最低限に。
ririのダブルジップは大人顔を引き立てるブラックをチョイス。
引き手もシルクで今回の為に一から作成していただきました。
STYLING #1
STYLING #2
H167cm / size3(ワンサイズ展開)着用。
アウターにもインナーにもなる絶妙なサイズ設計が流石です。
自分にはゆったりですが、そもそもこの感じが好み。
このブログを書きながら着用していますが、とにかく暖かい。
長野県でもこの上にミドルアウター羽織れば冬を越せます。
ロンドンでよく見かける、ジャケットのインナーにトラックジャケットを着ている紳士の格好が好きです。
それをナイロンではなくカシミヤで。まさに夢と理想が詰まっています。
私はこの優しさに包まれて、今年の冬を乗り切りたいと思いますw
店頭:11月30日(土曜日)11:00-より販売致します。
オンラインストア:11月30日(土曜日)18:00-より販売致します。
NAHYAT別注 史上最高のカシミヤニットジャケット 商品ページ
【お問い合わせ】
E N S E M B L E
〒390-0811
長野県松本市中央1-11-23
2F&3F
0263-31-3145
ensemble@idealinc.tv
橋場