明日8日(土)より、visvimの2015年秋冬コレクション"Dissertation on revealing the practice"がスタート致します。
毎シーズン、6ヶ月に一度コレクションという形で、いま自分が作りたい物を表現している。
そしてプレゼンテーションの際に、シーズンのテーマやコンセプトとプロダクトをリンクさせ世界観を表現していく。
その意味でもシーズンのテーマやコンセプトは重要になってくる。
ある時は、コンセプトやテーマが先に生まれ、デザインプロセスをリードしていく時もあるし、またある時はそのプロセスの中で、生まれてくる時もある。
そして稀に、今回のように、自然発生的に出てこなくて苦しむときもある。
生地のデザインや素材の開発もすっかり終わり、だいぶ形になってきた初冬の頃。
"まずいな、出てこないな、もう2ヶ月切っているな"と焦るばかりで時間ばかりが過ぎていく、そこで妻にも相談してみた。
"だいぶデザインもできているから、自分の中にあるはずでは?"と励まされる。
"そうだよね"と気を落ち着かせ、彼女と僕が別のプロジェクト用に撮ってきた過去数カ月分の写真を眺めながら、このコレクションのデザインプロセスを回想してみることにした。
7月のイギリスでのインスピレーショントリップから始まり、8月の西海岸のロードトリップ。
8月に開発チームとロサンゼルスで行われたデザインのキックオフミーティング。
パリでの生地開発のミーティング。
ワシントン州シアトルへのショートトリップ。
9月にフローレンスのアルノ川のほとりで開発チームと今季のカラーパレットを決めた時の写真。
ヨーロッパのサプライヤーさんを訪ねたロードトリップ。フロリダへのインスピレーショントリップ。
イタリヤのガルダ湖のほとりでうちのチームとトワルのチェックをしたデザインミーティング。
11月に東京からのチームと行われたカリフォルニアでのシューティング。
カリフォルニアのセコイヤナショナルパークへのショートトリップ。
仙台でセールスチームとキャンピングトレーラーのイベント。東京のアトリエで畳の上で行われたデザインミーティング。
ロサンゼルスでのデザインミーティング。
大量の写真とコンタクトシートを見ながら、デザインプロセスとインスピレーションを一つずつ思い出していく。そしてそこに、数ヶ月間に起こったとは思えないほどの量のストーリーがあることに気がつく。
ここ数ヶ月で地球を4周半移動しながら、僕らと僕のチームがたどった経験をお客様とシェアしたらどうだろうか?35ミリのコンパクトカメラで撮られたイメージは、決してファンシーでもアーツィーでもないスナップショット。でもそこにはリアルな光景と表情がある。
そして昔からレコードやCDを買って、最もエンジョイする瞬間を思い出す。それはアルバムの裏やブックレットに載っているスナップショットやプライベートなイメージを見ながら、そのアルバムを聴くこと。
そして妻に尋ねました。
"この写真、コレクションで使ってもいい?"彼女は快く了解してくれました。
そしてコレクションのテーマが決まりました。
"Dissertation on revealing the practice"
リアルなデザインプロセスを明らかにすることで、お客様によりプロダクトを楽しんでいただきたいと考えました。
Hiroki Nakamura