今月の雑誌"SENSE"を見て更に服熱が高まってきています。
それも「俺たちの90年代」と銘打って、
UNDERCOVER / ジョニオさん
A BATHING APE 創業者 / HUMAN MADE / NIGOさん
FORTY PERCENTS AGAINST RIGHTS / WTAPS / DESCENDANT / TETさん
弊社でもお取引のある方々のブランドヒストリーが、何ページにもわたって掲載されているからです。
どの方も裏原というムーブメントの中心にいたレジェンド。
毎年新しいブランド登場し、自分もつい目移りしてしまう時もありますが、
この方々が居たからこその 今の日本の洋服カルチャーがあると思います。
今回はその一人の西山 徹さん(TETさん) / WTAPSとDIALOGUEの話。
そのブランドの過去や偉業、デザイナーの哲学などを掘り下げて知っていくと、より好きになっていくと思います。
もちろん FPARと同い年の僕が偉そうには語れないので、DIALOGUEの店長 トモノリさんに話を聞きました。
WTAPS の思い出話中心ですので、トモノリさんと同年代の方は懐かしいなー と
僕より下の人達には、そんな凄いブランドDIALOGUEにあったの!!と知って頂けると思います。
ブランドの世界観は公式HP、詳しい歴史は今月の"SENSE"をぜひご覧ください。
- プロフィール -
【 一之谷 トモノリ 】
1985年 生まれ
2005年 入社
2011年 DIALOGUE 店長 兼 バイヤーに
【 平林 ノブオ 】
1993年 生まれ
2014年 学生バイトからスタート
2016AW-2018SS / ENSEMBLE 店長 兼 バイヤー
2018AW- / GATHERING 店長 兼 バイヤー
2020年 5月からGATHERING / ENSEMBLE 両店勤務に
NOBUO : 今、DIALOGUEで盛り上がっているところはどこですか。
TOMONORI : そうだね。最近だとWTAPS / HUMAN MADE / C.E とかが来店、問い合わせが多いかな。
N : いわゆる"裏原"レジェンドの人達ですよね。
その中でもWTAPSは特にトモノリさんが好きなイメージがあります。
T : 好きだね 今でも変わらず。 高校生の時から着てたね。
N : 高校からって早いですね。自分の高校の時と比べたら、、、笑
長野県って田舎なので、大学進学で県外に出て、そこでファッションに目覚める事が多いような。
トモノリさんが高校生って事は約20年前。お店とかもそんなに無さそうですし、
何がきっかけでした?
T : うーん 雑誌の影響が大きかったかな。
N : "Samurai" とかですか?
T : いや俺の時は"Boon"とか"ASAYAN"
N : ブーン、 アサヤン。。。全然知らないです。
T : その辺はかなり面白かったね。
"Boon" のWTAPSの特集とか今でも覚えてるよ。
ミリタリーで全身をかためて、ファッションというよりも武装したって感じの。
めちゃ格好良かったよ。
N : へー 今で例えるならこの雑誌とかって??
T : いやーないね。あの雰囲気の雑誌はもう無くなっちゃったね。
N : 当時 松本市にはWTAPSの取り扱いはあったんですか?
T : 店は無くて、その時は長野市まで買いに行ってたよ。
でも発売日は平日とかもあるから、その時は学校休んで電車に揺られ長野に行ってた笑
あとは当時はオンラインサイトとかも無いから、
好きなブランド扱ってる全国のディーラーリストの電話番号を全部 携帯に登録しておくんだよね。
大体 開店時間が11時とかだから、その時に授業を抜け出して、部室にこもって片っ端から電話をかけまくる笑
N : 熱量が凄い。そうやって買ってたんですね。
T : いや 買えない買えない。
N : え!! そこまでしても!!
T : そう。 そこまでしても全然タップスは買えなかった。
N : 凄いですね。笑
N : トモノリさんがDIALOGUEに入ったのが2005年で、WTAPSスタートしたのは...
T : 2010SSから。ここからスタート。
N : 念願叶ってですね。
T : そう。
N : あと聞きたかったのが、TETさん自身がお店見に来られたって
T : そうそう。朝イチにね。TETさんと営業の方が一緒に。
それで取り扱いOKになった。
N : 扱いが決まってからじゃなくて、決まる前だったんですね!?
T : 最終確認じゃないかな。
N : なかなかこの業界だと珍しい事ですよね。
お店でスタートする前にデザイナー(ディレクター)の方がわざわざ来るなんて。
自分で作った服を置く店は自分の目で見て判断するっていう事ですよね。
T : そう。しかもそれがレジェンドのTETさんていうね。
N : へーすごい。じゃあスタートして最初からお客さんも沢山来てって感じでしたか。
T : そこがまた簡単な話じゃないんだよね。お店って。
俺は好きだし、もちろんハシバさん(IDEAL 代表) も好きで、念願叶って取り扱える。
めちゃ盛り上げてやろうって思ってたけど、実は最初はそんなに,,,
歴史あるブランドだから、ウチでWTAPSを扱ってるって認知度もなかったし、
その頃は長野市ストリートの全盛期。
もちろん長野市にも取り扱いがあったし、昔から好きな人はそっちで買うっていうのがあったね。
あと男のお客さんは律儀で一途だから簡単にお店変えないね。
N : そうだったんですね。
その地道にお客さんを増やしてく期間はどのくらいあったんですか。
T : 2,3年くらいはそんな感じだったかな。
N : 僕が入った時は凄い人気だったので、最初からそうだと思ってました。
14SSのチームジャケットでしたっけ?
T : ベンチジャケットじゃない?
N : あ!!ベンチジャケットです。これがストックルームにズラッと並んであって、
でも全て予約完売。笑
チームジャケットは15SSでした。ハイビスカスの。
これもズラーーーっとあって、同じく予約完売。笑
自分の知らない凄い世界があるんだなって思いました。
T : 懐かしいね。笑
でもその辺りがDIALOGUEで起点になったシーズンかも。
14SS /WTAPS × MAJESTIC BENCH JACKET
2007年から現在までのカタログ
N : 過去のカタログとアーカイブブック 事務所から持って来たんで、これ見ながら色々話を。
T : 懐かしいねー。いいね 今見ても。
N :トモノリさん的に特に思い入れあるやつはどれですか。
T : どれも良いけど、やっぱり初期の頃かな。
憧れもあって自分の青春時代。雑誌を見て欲しくても手に入れられなかったやつ。
N : なるほど。アーカイブブックでいうと最初のページの方ですかね。
どれがヤバイやつなんですか?
T : ノブ君!! ここに載ってるやつどれもヤバイから!! 笑
でも敢えて言うなら、このスタジャンかな。
これは2001年、凄い印象に残ってる。
N : 裏にチェーン。作り込みが凄いですね。
01AW / STADIUM JACKET
T : もちろん買えなかったけどね。
でもこのサテンバージョンは持ってたかな。
あとはハイビスカス!! そしてクロスボーン。この辺はヤバイ。
N : クロスボーンはタップスのイメージありますね。
01SS HI-TOP VANS
BAPEと共同製作したHILANDERコレクション / 01AW KILT
T : 出た!! ハイランダー
N : これはスカートですか?
T : そうそう。俺の友達着てたよ。
これにドクターマーチンの膝丈の編み上げブーツを合わせてた。18歳の時ね笑
N : 笑 真似できないっす。
T : このハイランダーチェックの元ネタはスコットランドだったかな。
同じ生地で軍パンを作ってて、それは最高に格好良かったね。
T : あとこれは"RECON"とのコラボのリアルツリーカモ シリーズ。
N : リーコン??
T : FUTURAとSTASHのデザインチームみたいな。
バーブワイヤーっていうグラフィックがトレードマークでね。
今さ ネイバーフッドの通りにFR2あるの分かる?
そこが前リーコンショップだったんだよ。懐かしいなー。
N : え!! そんな人達とタップスのコラボ!!
T : RECONはネイバーとかエイプともコラボしてたよ。
今でこそOFF-WHITEでFUTURAも目立ってるけど、20年前にNIGOさんとかTETさんが先駆けてやってるから。
NIGOさんはスプレー缶にFUTURAのグラフィックTを入れて売ってたね。
STUSSYとの共同製作のファティーグシャツ / 06AW JUNGLE LS
T : このシャツはステューシーとのコラボ。
TETさん 元々チャプト(STUSSY 直営店)で働いてて、その繋がりだろうね。
あとWTAPSのコラボは筋が通ってるよね。
ビジネス的では無くて、どれもTETさんの思い入れのある人やブランドとやってるからね。
そのスタンスも格好良いんだよ。
04SS SHEMAGH
T : あ!! このシェマグ 使ってたなー
シェマグって砂漠地帯とかで、砂埃とか避けるために巻くやつなんだけど。
俺らの世代とかで流行ったんだよね。アラビアンスカーフを巻くのが。
N : へー ファッションとして!?
T : そうそう。そしてそこにサングラスを合わせる!!笑
N : あやしい。笑
これは今でも持ってるんですか?
T : これはハシバさんが欲しいって言うからあげちゃった。
N : おー じゃあハシバさんもこれにサングラスでー、、、
T : いやテーブルクロスにするって言って 笑
N : 笑 巻かずに敷く!!笑
08AW SHERPA
07SS,09AWに展開されたSUPREMEとの共同製作商品
08SS FURRIES
全部載せるとかなり長くなってしまうので、割愛しますが、当時話題になった服や思い入れのある服たち。
N : そう言えば長野市の高校生でWTAPS気になってていう子がいて
T : 高校生!!
N : しかも彼は"MILL"(WTAPS ユニフォームライン)が欲しいと
T : 渋いねー!!笑
そのMILLも長谷川さん(スタイリスト)がビジュアルやってて格好良かったね。
N : そうなんですよ。
その子も長谷川さんファンでよく話します。
少し話が逸れちゃいますけど、
長谷川さんてレアでもコラボでも無いレギュラー品や、ベーシックな服にスポットライトを当てて、
欲しくさせる天才だと思うんですよ。モデルやサイズ感で「これ長谷川さんっぽいなー」って。
僕が語るのは生意気なんですけど、今TETさんが作る服は敢えて作り込み過ぎない普通の服。
特にDECENDANTはENSEMBLEの時 担当していたので、そう感じました。
「このくらいがちょうど良いよね」の good enough 精神。
服単体の味付けでは無く、空気感・スタイルを作っているような気がします。
そのTETさんが今作る服と長谷川さんの相性が抜群に良くて、
WTAPSの今のビジュアルも個人的に凄い好きです。
モデルも今までのWTAPSのイメージと正反対ですもんね。
T :そうだね。 最近はそうやって打ち出し方も変えてきてるからね。俺も凄い良いと思う。
これから長谷川さん流 ポパイ系の若い子も増えて来るかもしれないね。
でも今ウチに来てくれてる好きな人達は自分と同年代か少し上の方。
90年代から魅せられた人達が未だに追いかけてる感じかな。自分も含め。
WTAPSを初めて知った、服好きの若い子も来て欲しいけど、
こうやって思い出話をしながら服を選べるような 同世代の人の居場所にもしたい。
あと共感し合えるから、自分も上がるよね。笑
もちろん新しいお客さんも増やしていかないといけないんだけど、
今人気だからこそ、売れなかった頃から応援し続けてくれたお客さんに買って欲しい気持ちが強いかな。
N : そうですよね。すみません、勝手に一人だけで盛り上がってしまいました、、、笑
あと何かオススメの商品があればと思ったんですけど、今 物は,,,
T : 無いね。ありがたいことに全部売れちゃったから。
N : 凄いですね。笑
次のシーズンにも期待って感じですね。